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2016年06月04日

第99回 昭和38年盛夏 音楽の勉強

第99回 昭和38年盛夏 音楽の勉強
高校3年の1学期末、担任が「就職試験受験の会社から、不採用と連絡があった。」と申し訳なさそうだ。
「この数日で状況が変わり、短大保育科に進学することにしました。」と伝える。
担任は、「それはよかった。」と嬉しそう。
次の日、園長先生の勧められた西宮の短大保育科を、受験することに決めた。
日曜学校の先生だったミカさんが、ピアノ教本バイエルと声楽の教科書(コーリュ-ブンゲン)を、週一回教えてくださることになる。
小学の時、ミカ先生は、原爆ドームや被爆少女サダコさんの事を話して下さった。
私が尊敬し憧れている女子大生で、教会の聖歌隊のオルガン奏楽もコーラスもとても上手だ。
ミカ先生宅に伺うと、すぐにおしぼりを出して下さり、扇風機も付けてくださる。
行き届いた心使いに感謝しながら、レッスンを受ける。
学校の音楽の授業で学んだことを思い出し、ピアノの上にまず右の手の指を拡げて置く。
親指を上にあげてから鍵盤をポンと打つことを教わる。
親指・人差し指・中指・薬指・小指に1・2・3・4・5と番号がついていている。
英文タイプのテキストにも、指の番号が書いてあり、番号通りに指を動かすのには、少し慣れていた。
「指を番号通りに動かせるのは、すごいわ。」とミカ先生が褒めてくださる。
英文タイプを3ヶ月習っていたことを話すと、「それはよかったわ。指を1本づつ動かすことは、難しいのにそれが出来るなら、ドンドン進むことが出来るわ。」とミカ先生。
ひろさんが誘ってくれたタイプを習って、本当によかったと思う。
ミカ先生は、良いところを見つけて励ましてくださるので、続けることが出来る。
また、3時頃レッスンの時は、おやつまで出してくださるので、その後も頑張れる。
夏休み中ほぼ毎日、幼稚園のピアノを借りて練習するが、指を一本づつ上げてポンと打って弾くことは難しい。
雨の日は、近くの瞳ちゃんの家のピアノを借りることにした。
瞳ちゃんは、楽譜を見てすぐに弾けるので感心する。
ミカ先生は、手本にバイエルの曲を一回弾いてくださるが、慣れないバイエルの曲を瞳ちゃんも弾いてくれるので感謝もした。
私は長い時間集中できず進み方も遅いので、瞳ちゃんは「大変ね。」と、同情しつつ応援してくれる。
嬉しくなり、頑張ろうと自分を励ましつつ、練習する。



Posted by トンコおばあちゃん at 21:35│Comments(0)
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