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2014年06月16日

第62回 昭和35年1月 洋装店のアルバイト(2)

第62回 昭和35年1月 洋装店のアルバイト(2)
2年生の成人の日の朝、いそいそと洋装店へ向かった。
店員のお姉さんに挨拶をしてから、店の前の掃き掃除を終えると、「待っちょったよ。端切れの係をお願いね。」とおばさん。
店先に大きいテーブルを出して、お姉さんと一緒に端切れを並べた。
開店の10時には数人のお客さんがやって来た。
「いらっしゃいませ。」「ありがとうございます。」の挨拶をして、お客さん全員に笑顔を忘れなかった。
端切れはどんどん売れ、「若い店番さんだと、安い端切れを買いやすいよ。」と言って数枚買う人もいた。
私は、気をよくしてますます笑顔で接した。
お昼は、お手伝いのおばさんの用意した魚の塩焼きや味噌汁などを、美味しくよばれた。
その後忙しかったので、あっという間に閉店の5時になった。
「端切れが、よお売れてえかったわ。笑顔で挨拶もちゃんと出来て、ええ感じじゃったよ。」
「本当に助かったんよ。明日も手伝いに来てちょうだいね。」とおばさん。
「楽しかったです。明日も学校が終わったらなるべく早く来ます。よろしくお願いします。」と挨拶して帰宅した。
私は、丁寧に挨拶する事が大切な事と知ったが、これは茶道の稽古の時の先生やお弟子さんを見習っているのだ。
茶道で、お抹茶を立てる事は上手ではないが、挨拶が出来るようになって良かったなと思う。
二日目は土曜日で、午後だけ手伝ったが、服地はかなり売れたようだし、端切れもずいぶん売れた。
三日目の日曜日、開店前のお掃除を終え、店先の端切れのテーブルに付いた。
端切れが残り少なくなったので、お店の中の服地の整理係もする。
早めに終わり、お掃除と明日からの平常のお店の準備を手伝う。
いろんな人と接して会話したり、お掃除など体を動かすことも、みな楽しい劇の一こまだと思った。
「又、忙しい時手伝いに来てね。アルバイト料よ。」と言って、おばさんが封筒を渡してくれた。
「ありがとうございます。是非又お願いします。」と言って店を出た。
「おっちょこちょいや、失敗をしなかったので、よかった。」と胸を撫で下ろした。
準備から楽しい日曜学校のお祝いの会と、もう一つ、洋装店のアルバイトの楽しみが出来て嬉しくなり、足取り軽く家路についた。



Posted by トンコおばあちゃん at 10:26│Comments(0)
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