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2013年12月12日

第1回 昭和25年晩夏  お池にはまってさあ大変(2)

第1回 昭和25年晩夏  お池にはまってさあ大変(2)
幼稚園では毎朝、出席ノートにシールを貼ることになっています。
幼稚園に少し慣れた頃、幼稚園に着いて通園カバンの中を見ると、入れたはずのノートが見当たりません。
その時は幼稚園の帰りに、我家の近くの切戸橋を渡った所にあるお店のおばさんが、私を呼び止めました。
「朝ね、外からお店の中に飛び込んできたんよ。」とノートを手渡してくれました。
今朝は、幼稚園に着いてみると、確かに持って出た通園カバンがないのです。
我家の近くの切戸橋を渡っている時、バスが来たのを思い出しました。
切戸橋は幅が狭くバスとすれ違う時、排気ガスが臭くてとても息苦しいのです。
バスが来たとたん、私はカバンをグルグル回しながら、逃げる癖があります。
その時、カバンが飛んだに違いありません。
そのうち、何時ものように出てくると思いました。
すぐにカバンのことは忘れて、みんなと楽しく遊んで、元気に家に帰りました。
次の朝、通園カバンが無いのに気が付いたのは、姉です。
お弁当を入れる袋を、姉が貸してくれたので大丈夫です。
私はきげんよく出席ノートが無いまま、弁当だけを入れた袋を持って、幼稚園に着きました。
年中組担任のれいこ先生は、私が忘れ物をすることに、慣れているようです。
れいこ先生が優しいので、私は先生も幼稚園も大好きになりました。
幼稚園から家に帰った時、あの店のおばさんがやって来て、「バスで市内を一周して、帰ってきたんよ。」と通園カバンを差し出しました。
ある人が、バスの窓から中に飛び込んできたカバンに、住所が書いてあるのを見付けたそうです。
おばさんの店の近くと分かって、ついでがあったので届けてくれたのです。
ラムネを作る手伝いのおばちゃん達が大笑いしたので、私も笑ってしました。
その後、バスが来た時、カバンをグルグル回しながら逃げる癖が、出ないとよかったのですが、当分の間続きました。



Posted by トンコおばあちゃん at 10:34│Comments(0)
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