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2014年05月08日

第58回 昭和34年5月 2年生の楽しい思い出(1)

第58回 昭和34年5月 2年生の楽しい思い出(1)
中学2年の4月下旬、「5月の始めの休みに、みんなでサイクリングに行こう。」と担任の馨先生が誘ってくれた。
みんなウキウキした表情で聞く。
それまで、そろばん教室の先生が、大好きなサイクリングに連れて行ってくれるので、私は教室に通っていた。
サイクリングの日は休んだことはないが、教室は休みがちだった。
そろばん教室を止めることにして、馨先生とのサイクリングを楽しみにした。
サイクリングの日の朝、クラスの全員ではなかったが、男子も女子も自転車に乗って校庭に集合する。
馨先生の親しい先生3人と、そのクラスの数人も一緒だ。
風薫る5月晴れのもと、国道に向かって一列になって出発した。
国道に入りずいぶん走ってから海岸通りだ。
磯の匂いのする風を感じながらぺタルを踏んで進む。
「青い山脈」という映画のサイクリングのポスターを思い出し、こんな風だったのかと、爽やかで嬉しい気分だ。
やがて、灯台のある松林の海岸に着いた。
おにぎりだけの弁当だったが、お腹がすいていたのでとても美味しい。
食べ終えた男子達が、白い灯台のむこうのやさしく輝いているさざなみの海に、小石を投げて飛ばし始めた。
「1段跳び!」「2段跳び!」と自慢しあっている。
クラスの中には、ふざけ合ったり、いたずらしたりとやんちゃな男子が多い。
勉強に取り組んでいるお兄さんタイプの男子も何人かいる。
むこうの方で、強そうな男子が言い合いを始めたが、すぐに終わったようだ。
それを見ていた1人の女子が「朗くんは怖い感じがするわー。」と言う。
「そうよー。私も怖いわ。」と他の女子が言った。
私は、従兄弟の激しい兄弟げんかを見ていたので、少々けんかをしても、クラスの男子を怖いと思ったことはなかった。
「そうかなー? 朗は本当は優しいんだがなー。」と先生が言われた。
「同感。」と私はうなずく。
朗くんは、小学低学年の時は女子にいたずらをしていたが、高学年になったらいたずらしなくなった。
家ではお母さんの手伝いやお使いをしている姿を、朗くんの近くのしずちゃんの家に行った時見たことがある。
先生はクラスの生徒をよく見て分っておられる気がするし、受け持つ生徒を悪く言われないので、嬉しくなった。
そこで、先生がハーモニカを吹き始められたので、みんな集まってきて一緒に歌い始めた。
おんちの私は、上手に歌えないが愉快で楽しい。
何曲か歌った後、みんなでペダルを軽ろやかに踏んで帰路に着いた。



Posted by トンコおばあちゃん at 10:02│Comments(0)
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