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2014年05月14日

第58回 昭和34年5月 2年生の楽しい思い出(2)

第58回 昭和34年5月 2年生の楽しい思い出(2)
2年5月のサイクリングの数日後のホームルームの時間、先生が深刻な顔をして教室に入って来られた。
きのうの校庭の掃除当番の男子達が、サボって掃除をしなかったそうだ。
クラス委員のあきら君が、一人で全部掃除したらしい。
掃除当番の男子が呼ばれて、前に出て横一列に並んだ。
教室全体がシーンとなった。
先生が、昨日の掃除をさぼったことが事実かどうか確かめられると、前に出た男子みんながうなずく。
「1人だけに掃除を押し付けて、サボるとは何と情けないことだ。」と先生。
「だが、僕は1人だけで掃除する行為も好きではない。みんなに声をかけてみんなで掃除をして欲しかった。」
「それがだめなら、みんなと一緒にサボって、一緒に叱られる方が好きだ。」という風なことを話された。
先生は1人ずつ1歩前に出るように言われて、サボった男子とあきら君の頬を順番に平手でバシッバシッと一発づつ叩かれた。
男子の頬が赤くなったが、先生の掌が一番赤いように見える。
「君達も痛かっただろうが、僕も痛かった。今日の事と今の痛さを忘れないようにしよう。」と先生。
先生の目も赤くなっていた。
バシッという音が聞こえた時から、怖くなったらしく手で目をおおう女子がいた。
叩く音が聞こえなくなって、先生の話声が聞こえると、みんなが真剣に聞く。
みんなうなずいていたし、目に涙をためている女子もいた。
さようならの挨拶をした後、女子は数人ずつ集まった。
「始め怖かったけど、先生の話分ったわ。」
「先生の考えはいいと思う。先生のこと好きになったわ。」
「その通りだわ。私もよ。」と大体同じような内容のことを話している。
私は「もっと以前から好きになっていたわ。」と心の中でささやいた。
私は、サイクリングに連れて行ってもらえることや、朗くんのことを悪く言わなかったので好きになっていたが、もうひとついいことがある。
それは、先生が「昼の休憩時間、みんな教室で過ごしているようだが、校庭で体を動かす方が健康的だ。みんな外に出よう。」と言ってくれたことだ。
その後、みんなは外に出るようになり、私はボールで遊んだりして体を動かすと、気分がスカッとした。
それまでより、午後の授業に集中できるようになったのだ。
先生も英語も、以前より好きになった。
1年の時は、担任の言葉が嫌味に聞こえて、英語の授業が楽しくなかったのだ。
これからは、前もって教科書の英文をノートの左頁に写し、右頁に訳を書いていくことにした。
初めての単語などは、辞書で調べて下欄に記入することにした。
宿題が出た時、すでに出来ているので慌てなくてよいし、英語の授業が楽しみになった。
また、先生が教えてくれた英語の歌も、ノートに写した。
数学も、教科書通りに順番に問題と解答を書いていくことにした。
平日は、運動部の練習後帰宅して、疲れて宿題をできないことが多いので、日曜にやればよい。
これで急に教科書の問題の宿題が出ても大丈夫な訳だ。
2年生になって、勉強のやり方が少し分ってきたし、運動も出来て、友達も増えたので、充実してきた気がする。




Posted by トンコおばあちゃん at 10:22│Comments(0)
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