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2014年06月30日

第63回 昭和35年初春 別れ(1)

第63回 昭和35年初春 別れ(1)
中学2年の3学期学年末テストの前、親しい真知子ちゃんと、テストに出そうな問題を教えあった。
テストが終わって、「テストの点が上がったんよ。うれしーい!」と真知子ちゃん。
私も、テストに出そうな問題を1回写しただけで、それ以上復習をしていないが、点数が上がった気がする。
3月に入り、日曜学校の「卒業と進級と入学のお祝いの会の準備を一緒にしようね。」と2人で話し合い、楽しみにしていた。
3月中旬、中学の卒業式に在校生代表で、私達2年生が参列するので、式の練習が続いていた。
卒業式の前々日の土曜日に予行演習が行われ、起立、着席、礼、校歌など長い練習がやっと終わった時、私はうんざりして疲れを感じた。
さあ帰ろうと思って後ろを見た時、ひときわ目立つ白い顔が目に入った。
真知子ちゃんの顔で、いつもより青白くボーとしているようなので、彼女の所に跳んで行った。
「真知子ちゃん大丈夫?疲れた顔をしちょるよ。」と声を掛けた。
「ちょっと疲れたねー。」と、返事が返ってきた。
「自分の卒業式じゃあないんよ。えらかったら、卒業式は休んだほうがええよ。」と伝えた。
「そうじゃね。でも、大丈夫と思うよ。」と真知子ちゃんは応えたが、元気のない声だった。
私も疲れていたが、家に帰って昼食を摂ると元気になり、しずちゃん達と遊んで過ごした。
日曜日の夕方、しずちゃんのお兄さんのモターボートに乗せてもらった。
切戸川の河口は比較的水がきれいで、川底が見え丸い石が数多く敷き詰められたようだ。
その石が時たま動くように見えるので、「何か動いていちょるよ。」と私。
「最近、タコがおるらしいから、蛸壺をつるして、時々あげてみると中から出てくるぞ。」
「川底をトントン突いちょると、タコが引っかかる事があるんじゃ。」と、熊手のようなモテキを付けた竿を貸してくれた。
言われた通りにしていると、しばらくしてほんとうにタコが釣れたので驚いた。
しずちゃんの家では、いつも珍しい事があり楽しい。
明日は卒業式に参列するので、早めに帰宅することにしたが、途中で真知子ちゃんの事を思い出し、少し気がかりだった



Posted by トンコおばあちゃん at 15:24│Comments(0)
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