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2014年11月10日

第76回 昭和36年春 高校入学

第76回 昭和36年春 高校入学
山の高校は文字通り小高い山の上にあり、周りに緑の木々や花も見られよい環境だ。
近くの生徒は徒歩通学、遠くの私はふもとまで自転車通学で、20分くらいかかる。
大学進学希望者のためと思えるが、受験科目の多い男女混合組が3クラスあり、料理や洋裁や音楽などもある女子のみの3クラスがある。
その時、私は絵の教室の助手になりたい気持ちだったので、大学に行った方がよいと思い、男女クラスに在籍した。
ところが、驚いたことに女子が3分の1しかおらず、周りが男子ばかりで落ち着かない気がする。
保健体育の時間は3クラスの女子が一緒なので、ホッとしておしゃべりに花が咲くが、少ししか話せない。
中学の歴史の授業で、日本も世界も戦争を繰り返して来たことを知った。
大分前隣の国でも、朝鮮戦争が起こったが、3年後休戦協定が調印され、その後級友が帰国したことも分かる。
去年は、岸首相の推し進めた新安保条約は戦争に巻き込まれる恐れがあるからと、「安保反対」のデモが各地で起こり、6月に大学生樺美智子さんがデモ中に倒れ、死亡した事もテレビで報道された。
私は、特に第二次世界大戦について、なぜ起こったのか知りたかったが、周りの大人達は、戦争に行った人達も行かない人も、思い出したく無いし話したくない雰囲気だ。
戦争や原子爆弾に怖さを強く感じていたので、高校ではもっと詳しく戦争の歴史が学びたいと思っていた。
歴史などの教科書は厚くなり項目は増えたが、あまり詳しく書かれていない。
社会科授業の時、「主権在民」について調べる宿題が出た時のことだ。
指名されたので、「去年、安保反対を主張する多くの人達がデモをし、警察隊と衝突した時、樺美智子さんが倒れて死亡した事が報道されました。主権在民というが、安保条約について国民の意見が充分聞かれたのか、疑問を持っています。」と、発言した。
「授業では、実際に起こっている時事問題は、取り上げないこと事になっている。教科書に載っている事を・・・・。」と教師が言う。
しばらくして、第二次世界大戦の事が取り上げられた時、「なぜ、この前の戦争が起こったのか?」と聞こうとした。
「教科書に書かれている事以外は、時間が少ないので取り上げられない。それに、近代史は大学入試試験には出ないんだ。」
と、また教師が同じ様な事を言った。
「またいらん事を言うちょる。大学受験に不要な事を聞いていらんわ。」という雰囲気が、教室に漂う。
高校では、私の知りたい事を学べないようだ。
自転車通学と授業に集中すると疲れるので、気分転換にしずちゃんの家でマージャンなどしていると、疑問について自分で調べる余力は無かった。
姉は、京都の服飾関係の短大に行き、家庭マージャンは出来なくなったので、しずちゃんの家でのゲームは楽しみになっていた。



Posted by トンコおばあちゃん at 10:52│Comments(0)
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